2011年11月30日水曜日

Library10

11月27日(日) 10時〜

この日は、フィンランドでお世話になっている方にご案内してもらいながらフィンランドの観光とデザイン、先進的な図書館を紹介してもらいました。ここでは、そのフィンランドでも先進的な取り組みを行っている図書館Library10からご紹介です。

今回はユースワークがカバーする範囲ではありませんが、利用者主体の音楽・文化的なグループ活動の促進と、音楽や文化の市民による創造を促す考えが、フィンランドのユースワークにも通じるところがあります。

Library10はヘルシンキ中央駅の近くにある中央郵便局の2階にあり、アクセスはとてもよいです。この図書館の特徴はCDの所蔵数が1万5千枚!!
本よりも所蔵数が多いとのことです。




それゆえ音楽好きの男性の利用者さんがとっても多いとか。
日本の図書館と言えば女性が多いイメージがありますが、このLibrary10の司書さんは4名中1名を除いて男性でした。
レコードも試聴し放題、そして借りれます。
直感的にこの図書館の評価を4つのボタンから評価できます。




館内には観葉植物もたくさん置いてあり、リラックスできる雰囲気です。利用者が思い思いの場所を見つけられるよう工夫がしてあるようです。この一角も試聴スペース。


ここまでは日本のどこかにもある気がしますが、この図書館の変わったところは音楽活動やミーティングの場所を提供するところにあります。配架をするロックな感じの司書さん(みんなこんな感じ)の奥には3つほどの、利用者なら誰でも自由に利用できる演奏室があります。図書館の利用者さんの中には、「図書館は静かであるべきだ」という声もあったそうですが、Library10の信念である「市民自身による文化の創造」を目指してこのような形で運営を続けているそうです。だから、館内では定期的演奏会や、市民自身による演奏会も開催しており、着実にその信念を実践に移していると感じました。

白いピアノの奥に写真が十数枚はってありますが、これ全て
市民の演奏の様子です。ジャズからロックまで本当にジャンルはさまざま。
お固い感じではなく、ロックな男性が司書だからこそ、
利用者本位の創意工夫をこらした運営ができる。利用者の
要望への応えも素早いそうです。

この日も2つほどの若者グループが真剣な様子でミーティング中(だいたい18時ころ)



なんとギターも貸し出ししています。


この日は日曜でしたが、利用者が無料で使える無線インターネット
も通っており、会社帰りの人もたくさん立ち寄るそうです。

フィンランドのユースワークの目標や理念に重なるといったのは、この図書館が利用者主体の音楽グループ活動の促進mと市民による文化創造を目指しているところからです。非常に立ち寄りやすい立地と雰囲気の中でフィンランドの人々のふだんのくらしに取り込まれた様子に、彼、彼女らに欠かせない場所なんだろうなと感じます。

これは若者たちのためのユースワークと非常に近いと思います。

駅という人々の交差点の近く、音楽という共通の趣味をもつ人たちが憩いの場とするこのLibrary10で、演奏会や市民自身らの演奏を通じてどんな会話や交流が生まれているのでしょうか。想像してみると、ちょっと素敵なことが起こっていそうですよね。





おまけ
この日ははじめにヘルシンキ現代美術館キアズマで待ち合わせ




ヘルシンキ現代美術館キアズマの入り口近くから、
イスラムの国で聞くような音がスピーカーから
流れていました。


こちらがキアズマのカフェ店内。
天気がどんよりなのがちょっぴり残念


カフェでしばし休憩。
フィンランドの人が好んで食べるドーナツ
独特の香辛料の味がします。ぜひお試しあれ。



おしまい
湯浅 雄偉





2011年11月28日月曜日

Nuukiso National Park

11月26日10時〜17時

11月26日はヘルシンキから少し北にあるエスポー市に所在するNuukiso国立公園へ、プライベートツアーで行ってきました。

ムーミンの生まれた国、フィンランドに住む人々がどれだけ森を大切にし、本当に生活の一部として森で過ごしていることを伺い知れるツアーでした。歩いていると、湖にもたくさん出会うことができます。今回の記事は、写真でお楽しみください。

















湖のそばにはたき火をやるセットがあるけど、管理人はいないよう。
こうやって、次に使う人のために薪を切ります。
自分たちが使う以上に薪は切っておく(左はガイドのOlii。右はへっぴり腰の勇太)


 
沸騰すれば大丈夫と言われて湖
から水をくむ


 


こうやってパンケーキを焼いて、コーヒーをすすりながら
静かに湖をながめるのがフィンランドの人たちの過ごし方




夕暮れがとてもきれい





2時ころからゆっくりと時間をかけて、日は沈む



17時ころにヘルシンキへ戻り、夕食

今回は旅の番外編、という感じかもしれませんがフィンランドの人の話を聞いていると、小さく生きる、自然のなかで生きる、ということをすごく大事にしているような話ぶりをよく聴きます。

彼ら、彼女らの暮らし方を耳にし、目にするにつけ、何がよい生き方なのかという精神が生活のなかに息づいています。もしかしたらそんな暮らしの精神からユースワークの考え方も見えるかも...しれないですね。

ユーモアたっぷりにNuukisoを案内してくれたOliiに感謝です。



2011年11月26日土曜日

Poikien Talo(Boys House)

みなさんこんばんわ。

湯浅とともに今フィンランドでユースワークの実践を見ている若林勇太です。

ここでブログを書くのは初めてなので簡単に自己紹介を。
僕は静岡県立大学の学生で、YEC(若者エンパワメント委員会)という若者の社会参加を活性化する団体に所属しています。その活動の中で若者の社会参加やエンパワメントに興味を持ち、イギリスに6ヶ月間滞在しNew Horizon Youth Centreというユースセンターでユースワークの修業をし、その他にもイギリスの若者支援関連の機関を訪問していました。
この様子はYECのブログで簡単に報告をしているので、良ければご覧ください!


そして今はフィンランドに来て同じように若者支援に関連する機関を訪れている最中でございます。

さて、このブログでは今回訪れたPoikien Talo(Boys House)の報告をします。

フィンランドでは男性に対して、例えば男らしくあるためにあまり多くを語らない事や、泣かないなどのステレオタイプが存在します。Poilien Taloはこのような差別や偏見に対して活動をしており、10歳から28歳の男性であれば誰でも仕事・学校・家族の問題・友達関係・ドラッグ・メンタルヘルスなど困難な問題を抱えている若者に、安全な居場所を提供し、彼らが話したいトピックならなんでも話せるような機会を提供しています。Poikien Taloは11人が社会のリソースとして認識されることを信じ、差別と戦い、文化・民族・社会的バックグラウンド・宗教・セクシャリティ・意見・健康状態・障害などに関係なく、ここに来ているすべての人を平等に扱っています。

ここでの活動はジェンダーセンシティブの理念に基づいており、これは1人の人に接する時に性という物に関心を持たずにのっぺらぼうに見るのではなくて、その人のジェンダーが育った環境の影響を受けていることを踏まえ、その人固有の立場や来歴、考え方に配慮し、ジェンダーに関わる全体を見出しつつそれらを尊重して関わる事を言います。
主な活動として、1対1での相談、CDの作成などのグループ活動、そして自分の息子に対して不安や心配事を抱いている両親との相談を行っています。
利用者が談笑をしたり活動を行う部屋


この地域の若者の特徴として、友達がいなかったり、将来に希望が持てなかったり、親がいなく信頼できる男性の姿がいなかったなどの理由で社会から孤立した若者が数多くいるといいます。
オフィス。この奥の椅子に座ってディスカッションを行いました。


社会的包摂を進めるのであれば、come together・work togetherを進めていくべきだと思うが、あなたたちはなぜ男性だけに活動領域を絞っているのかを聞いた所、私たちは男性だけの社会を作ろうと思っているわけはなく、包摂を進めていかなければいけないと思っている。また男性と女性は平等だと思っている。しかしそれと同時に、男性なら誰でも受け入れられる場所を提供し、特定のニーズを満たさなければいけないと思っている。なぜならフィンランドのある調査によれば、男性はより健康の問題や自殺、暴力などに巻き込まれているとの結果が出ており、男性はよりリスクに侵されている。だから男性だけの居場所だけが必要だと思っていると回答してくれました。


1対1の面談に使われる部屋


また、ここに来る男性に対してスティグマを張っている事についてどう思うかを質問した所、Poiken Taloはある特定の問題にアプローチしているセンターではなく、問題があるないに関わらず、対象年齢内の男性であればすべての男性が利用できる。また例えばソーシャルサービスやその他専門的機関と違って、ここでは名前や自分たちが答えたくない事は答えなくてよく、利用者にとって利用しやすい環境を提供している従って利用者達は自分は問題なんだと感じる事はなく、私たちはスティグマを張っているとは思わないと回答してくれました。
話を伺ったAntiiさん。サイコセラピストを資格を持っています。


以上です!それでは続報をお待ちください!














フィンランド若者協会ーAllianssi(25.Nov.2011)

2011月11月25日(金)

ユースワークを訪ねる旅フィンランド編2日目は2つの組織を訪ねました。
今回はそのうちの一つ、Allianssi(アリアンシ)というフィンランドの若者系団体では最大の民間NGOを紹介します。

お話をしてくれたのはTimoさんとEijaさんです。
左の人がEijaさん右の人がTimoさん、真ん中が湯浅
Allianssiはユースワークのロビイングやサービスを行う団体です。誤解をおそれずに言えば、ユースワークの業界団体といったところでしょうか。政治的、宗教的にも中立なおよそ100を超える組織(若者団体、若者研究者団体など)がメンバーに名を連ねています。

活動の目的は、「若者が社会に対して責任を持つこと」、「若者が意思決定の参加のプロセスに関わること」、「若者が国際的な活動に若者を巻き込むこと」です。

ベーシックなこの団体の内容については以下のブログが詳しいのでご参照ください。


Allianssiは、若者に関わるいろいろな事柄を加盟団体と協力しながら活動しています。たとえば4年に一度、選挙権のない10歳から17歳の子どもたち・若者による模擬投票選挙が様々な主体(主に学校)によって実施されます。そこでAllianssiがとりまとめとして選挙結果を集め、選挙前に世間に発表することで社会への影響力を発揮することを目指しています。「選挙の結果は、選挙権のある大人による選挙の結果ととても近い内容になるんだ。」とはTimoさんの言葉です。


他にもロビイングとして、国会議員に成績をつけています。議員が若者にとって利益のある政策の発表、立案、成案の成果を出したかなどによってポイントを割り振り公表しています。特に影響力を持つようで、たまに国会議員から「わたしはあれを頑張ったのにポイントがついてないじゃないか!」とクレームが入るそうな。



Timoさんは、フィンランドのユースワークを見るなら、「参加(Participation)」「若者の声を聞くこと(声が聞かれるべき)」をすごく大事にしているから、そこを中心に見て来なよ、とリコメンドしてくれました。


YECから頼まれた質問で、なぜ文化的(Art,Music,etc..)な活動の参加を勧める必要があるのか?どんな意義があるのか?という質問をしたときの答えが2人揃って「それは子ども・若者しだいですねぇ」と言われた時は、今まさにユースワークで大事だと言ったことを発言したので「あぁ〜」と日本語で漏らしてしまいました。


僕にとってはここで紹介されたフィンランドのユースワークの発展の歴史がフィンランド独立と福祉国家建設の話と密接に関連していてとても面白かったです。内容は、、また別の機会に書きます。ちょっとばてました笑

最後に、Allianssiは若者研究専門の図書館が附属しており、研究者や学生、僕らのような海外の来訪者がたくさん訪れているようです。その様子がこちら。

司書さんのスペース。本を借りにきた学生も
隣に座っておしゃべりしてました
ロビーの一角




15,000冊にものぼる若者関連の図書














こちらでも英語で読み書きのできる研究者は少ないらしく、お互いに資料としてみせられる英語文献の少なさに笑い合いました。いや、それじゃいけないよなぁ。


街の外食よりすごく健康的な感じなご飯
食堂。お昼どきは施設を利用している
様子のない人も結構入ってきてます

See ya!

湯浅 雄偉

フィンランド到着

11月24日14時半
こんばんは、湯浅雄偉です。


ついにフィンランドに到着。寒さは思ったほどではなかったです。
ヘルシンキ空港の内観1
ヘルシンキ空港の内観2
ヘルシンキ中央街からトラムでおよそ30分近く離れた郊外の Humalistonkatu 1というストリート近くのキッチン付きホテルで宿をとりました。


ホテルの名前が他の地元で有名なホテルと似ていたらしく、何度か道行くフィンランド人に聞いたところ皆にそのホテルを案内されるというハプニングに途中見舞われました(笑)


今回の旅はユースワークの政策立案者や実践者へのヒアリングツアーです。今日から1週間は、フィンランドのユースワークの様子や考えを、フィンランドの雰囲気や人々との関わりも交えて記事を書いていこうと思います。


どうぞよろしくお願いします。